驚愕!透明なる幻影の言語をたずねてパート2

ことばの力をたずねながら、主に近・現代詩の旅にでたい~時には道を外れながら

影の爪 (現代詩)

その影は
人の重さを忠実に
支え、
なぞり、
自らの存在は主張しない
むろん、影はいのちの明暗を
あばきたてること以前に
見えないものの
ありかを焼きつけてはなさない

 


その影があって息づいている
世界の単純な仕組みは
なにより悲鳴の的になりやすく
あえて見ない、
見ようとしても見えない影の
悲哀を色濃くうつす

 


夏の影、
灼熱の車道
おもいがけない遠い暴動の
影の乱調か
全世界のはての果てまでも獰猛に殺戮をくりかえす
限りなくつづく手足のつめの血の
跡、
の影まで

 


自傷的な行動を
支え、
なぞり、磔ではない
圧倒的に死者を見送る花火の影よ
都市が泣く
生きて別れる闇深く、分かるひとはわかる
肉親たちの骨をばらまく
影の影まで

 

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