驚愕!透明なる幻影の言語をたずねてパート2

ことばの力をたずねながら、主に近・現代詩の旅にでたい~時には道を外れながら

静かな驟雨〔現代詩)

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静かな驟雨

 

 

 かつてのあこがれが
色を失い、
声を失い、
歌にもならない風景の
塵の山を思い描く
肋骨あたりにぶらさがる
食い散らかした西瓜の種で
叱られた日が甦る空想のぬけがらか
ハンノキの幹にしがみついていた
仲間たち


甦るぬけがらの熱い庭にも
驟雨が通る
昼下がりは
胡瓜のような模型の舟に
こころの浮力の重さがかさなり
扁平足のはだしのまま
ありもしない無様な記憶を踏み散らかす
青空を乱読する
拠り所などなにもなかったが


かつて推理小説にのめり込み
昆虫針で停めていた怪しい幻影が
色を失い、
声を失い、
まぼろしのどぶろくの苦さに変わる
夢の団地に乱読の灯は消え
―老けてしまったなぁ、はあはあ息をはぜませ
仲間たちは
確実に迫り来る恐怖の予感に靡き
午後の蝉時雨とか云うらしい
耳に痛いどぶろく
頭から浴びている  屋台がある