驚愕!透明なる幻影の言語をたずねてパート2

ことばの力をたずねながら、主に近・現代詩の旅にでたい~時には道を外れながら

詩人・詩書の周辺

実感という資質-吉浦豊久詩集『或いは、贋作のほとりに佇む十七夜』について

詩とエッセイと写真が渾然一体となったムック形式の詩集は近頃めずらしい。そのうえこの吉浦豊久詩集は、前詩集 『或る男』から十九年ぶりの第三詩集であることに、感慨深いものがある。かつて菓子職人として富山市内で菓子店を構えていたころからの詩的出発…

われ発見す、夢の島!ー瀧口修造「星と砂とー日録抄」を読む

古書店で見付けたぼくにとっては、まさに夢の本であった。ここには、浅草と新宿というふたつの街が、夢みる現場のように現れる。銀座や渋谷ではない、まして六本木や赤坂、麻布界ではない。だが偶然のようにふたつの限定されたこの場所は、あたかも取りかえ…

犀星と光太郎と無名の同人誌詩人(舟川栄次郎)について

ひたすら詩を表すことに生涯をかけた詩人のひとり、全国的にも殆ど無名に近い、戦前から戦後のはじめにかけての北陸の詩人舟川栄次郎の詩的軌跡を振り返ってみたい。* 室生犀星が自らの著書で、生涯の好敵手であったという高村光太郎について、あらゆる面で…

「日本海詩人」と詩人大村正次について(初めてのブログです)        

井上靖や源氏鶏太など、若い頃の詩作のよりどころであった北陸の詩誌。「日本海詩人」の編集者であり詩人であった木村正次についての足跡を記しておきたい。 木村正次は、石動に住み、県立高岡中学(元高岡高校)の教諭であった。明治二十九年(一八九六)六…